久保建英に成熟の証。スペインの知将がそのすごさを明確に語る (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 しかし、中盤の強度で劣り、最終ラインも強固とは言えないマジョルカは、PK、CKから2失点し、序盤にして追い込まれた。

 唯一の希望になったのは、久保だろう。彼がボールを触るたび、マジョルカは得点の匂いをさせていた。

 29分には、左サイドでラゴ・ジュニオールとワンツーパス、このこぼれ球からダニ・ロドリゲスが右足で強烈な一発を狙う。システム変更で、久保は4-4-2の右サイドへ入った46分には、右サイドでボールを受けると、動かすことでスペースを作り、アンテ・ブディミルにスルーパスを通した。69分には、相手と対峙しながらボールを持ち運び、エリア内に入っていたアレクサンドル・トライコフスキに速いパスを入れ、これがPKにつながった。

 78分にも、久保は右サイドから中央へボールを動かし、ラインの前を横切って脅威を与える。リオネル・メッシも得意とするプレーだが、横移動で相手の視線をずらし、スペースを作り、突破やパスやシュートを狙う。ファウルまがいのタックルを受けてこぼれたボールを、ダニ・ロドリゲスが見舞った一撃は、わずかに左へ逸れた。

「久保はボールを受け、運び、タイミングを取ることができる。同時に周囲も彼が作ったスペースを使える」

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