際立つレアルの老獪さ。ジダン監督は「奇異な状況」に自信あり (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

 前後半トータルで考えると、レアル・マドリードは完勝したわけではない。しかし、勝ち切るところに彼らの本質はあるだろう。

「(お互いのフィジカル面が落ちている時)技術面で優れた選手は受ける影響が少ない。その意味で、マドリードは個人の能力の高さが最大の利点で、それを生かし、ゴールを決めた。偉大なサッカーをしなくても、簡単に勝ってしまった」

 エイバルのホセ・ルイス・メンディリバル監督は敗戦の弁を洩らしているが、核心を突いている。

 レアル・マドリードは世界に冠たるクラブである。選手層が厚いだけでなく、トッププレーヤーの選抜。組織のほつれやうまく働かない箇所が多少あっても、それを"もみ消す"強さがあるのだ。

 そして指揮官であるジダンは、チームマネジメントに長けている。彼自身が現役時代に常勝軍団にいて、多くの栄光を勝ち取ってきた経験もあるだろう。プレーの美しさなどに酔うところがなく、実務的な勝利を目指せるのだ。

 6月18日、第29節。レアル・マドリードは再び本拠地にバレンシアを迎えて戦う。首位、バルセロナとの勝ち点差は2。勝利のみが正義だ。

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