動かない鉄壁守備のカラクリ。ボヌッチには連携で仕留めるうまさがある

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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サッカースターの技術・戦術解剖
第10回 レオナルド・ボヌッチ

<格で守る>

「センターバックは格で守る」

 かつてブラジル代表のセンターバック(CB)でキャプテンも務め、日本でも日産自動車でプレーしたオスカーはそう言っていた。「格で守る」とは、わかったようなわからない話だったが、1998年フランスワールドカップでロベルト・アジャラを見た時に「こういうことか」と実感した。

1対1の守り、ロングパスの精度で、イタリアを代表するセンターバックとしてプレーするボヌッチ1対1の守り、ロングパスの精度で、イタリアを代表するセンターバックとしてプレーするボヌッチ アルゼンチン代表のCBアジャラの身長は177cm。このポジションにしては小柄だった。しかしアルゼンチン代表で長くキャプテンも務め、世界有数のCBだった。

 その試合でアジャラの対面には長身のFWがいた。空中戦にも強いことで有名なアジャラだったが、身長差をどうやって埋めているのか興味があったので注目していた。きっといろいろな駆け引きをしていて、審判に見えないところでファウルなどもやっているに違いないと思って見ていた。

 ところが、アジャラは特別なことは何もしていなかった。ごく普通に守り、ごく普通に競り合っていた。結果は勝ったり負けたり。身長差ほど負けていないが、圧倒的に勝っているわけでもない。

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