動かない鉄壁守備のカラクリ。ボヌッチには連携で仕留めるうまさがある (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 しかし、そこに「格」を感じた。いっさい動じておらず、全くジタバタしていない。だから墓穴を掘ることがない。競り合いでのジャンプのタイミングも完璧。それでも身長差で負ける場合もあるが、競り合っているので相手を自由にはさせていない。

 相手のユニフォームを引っ張ったり、体をぶつけたりといった行為をしていない分、少なくとも自爆することがないのだ。揉み合っているうちに競るタイミングを失う、パワーで抑え込まれて体勢を崩すというミスが起こらない。

 無策といえば無策。だが、堂々としていた。実力以上のことをやろうとしていなかった。それで抑え込める自信があり、これまでもそうやってきたのだろう。さらに言うと、代々こうやってきたのかもしれない。アジャラの父も祖父もプロサッカー選手でCBだった。

 ユベントスのイタリア代表、レオナルド・ボヌッチにも「格」がある。

 アジャラと違って190cmの長身なので、普通に競っていても空中戦ではめったに負けることがない。飛び抜けてスピードがあるわけでも、アジリティに優れているわけでもないが、1対1の対応が非常にうまい。ボヌッチの格を感じるのは、むしろ1対1やポジショニングの的確さである。

<動かない守備>

 ユベントスではジョルジョ・キエッリーニ、アンドレア・バルザーリと鉄壁の3バックを形成していた。2011-12シーズンからセリエAで6連覇した当時の守備もまた「格」を感じさせるものがあった。

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