華やかなイタリアW杯決勝の舞台で
実感。欧州に「同国人のよしみ」なし (2ページ目)
オリンピコは市の中心からやや離れたテベレ川沿いにある。『ローマの休日』で知られるスペイン広場からは徒歩数分。ポポロ広場の裏手から市電に乗ると、10分ほどで最寄りの停車場に到着する。
94年夏にはサッカーとは別件で、オリンピコを訪れている。スタジアムに隣接する屋外プールで開催された水泳の世界選手権を取材するためだ。日本の競泳陣がレベルを上げていたこともあるが、90年イタリアW杯の時、メディアセンターがそのプールサイド付近に設置されていて、リゾート感覚溢れるお洒落で華やかな雰囲気だったことも、取材する動機を後押ししていた。
「あのオリンピコの脇にあるお洒落なプールで世界選手権をやるなら、行くしかないね」と、カメラマンと話し合って、決めた記憶がある。
日本でメディアセンターと言えば、市役所のような事務的な場所と相場は決まっている。いまなお、楽しそうにしていると不謹慎だと言われかねない堅苦しさを感じる場所だが、オリンピコは違った。パーティー会場に足を踏み入れたような華やかなムードを味わうことができた。劣悪な治安の街中と同じ国とは思えない、まさに別世界だった。スポーツの地位の高さを思わずにはいられなかった。
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