異様な殺気、優雅な旅行。アテネで体感したCLのふたつの顔 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 筆者がそれまでCL決勝に抱いてきたイメージは、もっと殺気に満ちた雰囲気だった。両軍サポーターは現地で闘争本能を剥き出しにしていると思いきや、優雅に観戦旅行を楽しんでいた。その姿に、逆にCL決勝の価値の重みを見た気がした。サポーター冥利に尽きる観戦旅行とは、このことを指すとは、初めてCL決勝を観戦に出かけたアテネで思ったことだ。

 それだけに、バルササポーターにとって0-4の敗戦は残酷だった。後半2分、デヤン・サビチェビッチのループシュートが決まり0-3になると、バルササポーターの3分の1はスタンドを後にした。さらに後半13分、マルセル・デサイーのゴールが決まり、0-4となると、もう3分の1がスタンドを後にした。試合が終わる頃には、バルササポーターは誰もいなくなっていた。

 その2年後(1995-96シーズン)は、アテネを、CL準決勝第2戦を観戦するために訪れた。1994-95シーズン、ミランの連覇を止め22シーズンぶりの優勝を飾ったアヤックスとパナシナイコスの一戦だ。アヤックスホームの第1戦は0-1。パナシナイコスが先勝していた。

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