ドログバが何度も起死回生のゴール。チェルシーCL初制覇の原動力だった (3ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by AFLO

 不甲斐ないプレミアリーグでの戦いぶりもあり、チェルシーのCL決勝進出は予想外と言えるものだった。迎えた決勝でも、前評判では劣った。なにしろ、会場のアリアンツ・アレーナは対戦相手バイエルンの本拠地である。シーズン開幕前に名将ユップ・ハインケスを呼び戻していたドイツの名門は、ホームでの戴冠に王手をかけていた。

 一方のチェルシーも、ビラス=ボアスのあとを引き継いだ暫定監督のロベルト・ディ・マッテオの下で団結力を増し、ダイナミックでタフな集団に仕上がっていた。とくに前指揮官と不仲だったと言われるベテラン勢──ドログバも含まれる──が調子を上げていき、決勝でも違いをつくった。

 チェルシーはこのシーズンの自らを象徴するように、ファイナルでも何度か窮地に立たされた。均衡が破れたのは、83分。バイエルンのトーマス・ミュラーのヘディングがネットを揺らした時、観戦者の多くは下馬評どおりの結果に落ち着くと感じただろう。しかしその5分後に、フアン・マタのCKをニアサイドでドログバがきわめて強烈なヘッドを叩き込み、試合は延長戦へ。

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