ドログバが何度も起死回生のゴール。チェルシーCL初制覇の原動力だった (4ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by AFLO

 延長前半早々にドログバがフランク・リベリを倒してPKが宣告されるも、アリエン・ロッベンのキックを守護神ペトル・チェフがストップ。二度の瀬戸際をくぐり抜けたチェルシーは勝負をPK戦に持ち込んだ。

 3-3で迎えた後攻チェルシーの5人目のキッカーはドログバ。落ち着いてマヌエル・ノイヤーの逆にシュートを沈めると、この時ばかりは、ヒザでスライディングしたり、両手を左右に小刻みに突き出しながら走ったりもせず、成し遂げたことが信じられていないような、今にも泣き出しそうな表情でチェフと喜びあった。

 前述したように、リーグ戦の不振もあり、ドログバはバロンドールのレースに加われなかった。2011年も2012年も、リオネル・メッシが選出されている。2位はどちらもクリスティアーノ・ロナウドで、3位はシャビ・エルナンデス(2011年)とアンドレス・イニエスタ(2012年)だ。

 けれど、クラブフットボールでもっとも重視されるCLで、しかも数々のひりひりするような場面で、あれほど出色のパフォーマンスを見せたドログバを忘れるわけにはいかない。そして優勝したあとのあの表情を。

 26歳でプレミアリーグにデビューしてチェルシーに50年ぶりのリーグ制覇をもたらし、30歳で初めて立ったCL決勝では辛い敗北を味わい、34歳でついに頂点を極めた遅咲きのストライカー。その歩みはチェルシーの黄金期の歴史でもあった。

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