歴代監督曰く、プジョルがいなければバルサの攻撃サッカーは成立しない (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Denis Doyle/Getty Images

 バルサひと筋で15年、600試合近くに出場し、6度のスペイン王者、3度の欧州王者など、数え切れないほどのタイトルを勝ち獲った。

 スペイン代表としても、ユーロ2008、2010年南アフリカW杯で優勝。これだけの栄冠を勝ち獲ったディフェンダーがいるか――。ギリギリの勝負を制することによって、たどり着いた境地だ。

 キックオフ直前、プジョルはいつも厳かに十字を切った。それは、何者も恐れないための祈りだったのか、チームの勝利を念ずるものだったのか。その"儀式"を経て、彼は雄々しい戦士となった。

 2006年まで5年間、バルセロナに住んでいた筆者は、その姿に胸を熱くした。愚直に闘い続けたら、何か事を成せる。そう励まされる気分だったのだ。

 実はインタビューの約束は一度、ドタキャンされていた。

「今日は歯医者の診察が入ったから、インタビューは明日ね。大切な治療なんだ」

 プジョルはそう言って足早に去った。唖然としたが、不思議と感心した。それだけ体を気遣っているんだなぁ、と。

 闘う男の流儀だ。

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