ユーロ1年延期即決の裏事情。UEFAが迅速に動いた背景を読み解く (4ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 だから彼らにとっても、UEFAの提案は"渡りに船"だった。

 それによって空白となったカレンダーを有効活用し、状況次第では6月30日までに各国リーグの延期分の消化にあてることができるという今回の決定に、異論が出るはずもない。新型コロナウイルスの終息という条件はあるものの、それによって失いかけた収入を取り戻すことができるからだ。

 もっとも、ヨーロッパ大陸だけで決められるほど、現在のサッカー界のカレンダーは単純ではない。

 各大陸、各国のカレンダーは複雑に入り組んでいるため、ヨーロッパのカレンダーを動かせば、即そのほかの大会にも波及する。そこでUEFAは、FIFA(国際サッカー連盟)やほかの大陸連盟と調整を図り、さまざまなカレンダーの変更に漕ぎつけている。

 まず、南米サッカー連盟がUEFAと協調した。

 アルゼンチンとコロンビアで今夏に開催する予定だったコパ・アメリカを2021年に延期し、「ユーロ2021」と同じ6月11日から7月11日に開催することを決定している。これにより、南米出身選手も今シーズンのヨーロッパカップや各国リーグでプレーすることが可能になった。

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