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バルサに見る4-3-3の長所と短所。
模範となるべきシステムなのか (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

 そして、4-3-3の戦術システムにおける最大のポイントはアンカーにある。

 優れたアンカーは、攻撃スピードを司る。シンプルに適切にボールをつなげることで、味方は時間的猶予を得て、優位にプレーできる。相手にインターセプトを狙われるなか、"絶対にボールを失わない"という信頼を与え、前線の選手が動き出せる。それだけに、もしボールを失えば、背後を取られ、失点することを意味する。その要求を満たせる選手は、ブスケッツ、ロドリ(マンチェスター・シティ)など数えるほどだ。

 たとえば、レアル・マドリードも4-3-3をオプションに使うが、バルサやシティとはタイプが異なる。それは、アンカーのカゼミーロの主な役割が、ディフェンスラインの前の"番人"になることだからだ。チームをソリッドにし、カウンターを有効にするための起用なのだ。

 つまり、ボールプレーに重点を置いた4-3-3で成功を収めたチームは、世界でも少数しかない。人材をそろえるのが、至難の業なのだ。

「私の理想とするサッカーをできる選手がいなかったからだよ」

 クライフはバルサの監督を解任されたあと、他クラブからのオファーを断った理由を、そう簡潔に説明している。

 ただ、もし実現することができたなら――。攻撃サッカーの宴が開かれるはずだ。

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