バルサと資金の差は10分の1以下。それでも3位ヘタフェが強い理由 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

 選手のスカウティングにも、ボルダラスは違いを見せる。バルサでトップ昇格の道が閉ざされたマルク・ククレジャを、左サイドアタッカーとして開花させた。ほかにもMFのマウロ・アランバリ、ネマンヤ・マクシモビッチのように、以前は不遇をかこっていた選手が多い。

「ボルダラスは選手の才能を魔法のように引き出せる」

 ヘタフェのアンヘル・トーレス会長は賛辞を贈る。

 ボルダラスは苦労人である。現役時代は下部リーグを渡り歩いた挙句、ひざのケガで20代の終わりにスパイクを脱いでいる。29歳で監督としてのキャリアを県リーグ(6部)のクラブからスタートしたが、順風満帆ではなかった。監督生活25年、下部リーグで10チーム以上を指揮し、実績を積んできたのだ。

「人生は簡単ではない。しかし、努力を重ねることで得られることを私は学んできた。努力だけは取り引きできない」

 ボルダラスは言うが、その硬骨さがヘタフェの戦い方に伝播している。

 2月15日の第24節。ヘタフェは10倍以上の資金力=戦力を誇るバルセロナと、敵地カンプノウで相まみえる。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る