バルサと資金の差は10分の1以下。それでも3位ヘタフェが強い理由 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

 ヘタフェを率いて4年目のボルダラスは、戦いの強度を徹底的に上げてきた。たとえば、(欧州カップ戦などがない週の)水曜日には3時間の猛特訓。走る量も多く、通常練習や週2回の試合をこなしながら、毎週40km近くを走るのがノルマだ。

 猛練習によって、ヘタフェのスタイルができた。選手は目を血走らせ、球際を戦う。なりふり構わずに守り、相手の裏に蹴って、ボールを追う。敵が怯んだら、ゴール前に殺到し、ねじ込む。

「戦闘力」

 それがヘタフェの代名詞になった。

 一方、ファウルが多いチームと言われ、批判も浴びた。当初は縦にボールを蹴り込むのが基本で、ポゼッションも否定したことにより、「アンチ・フットボール」とやり玉にあげられた。

 しかし、今や多くのクラブがヘタフェの戦い方から学んでいる。

 トレーニングの練度の高さは、賞賛の的。「ヘタフェの選手は練習中も歩かない」と言われるが、それほど練習での集中力が高い。そのディテールが、試合で出ているのだ。

 ボルダラスは選手起用も抜きん出ている。たとえば、FWはモリーナ、マタ、アンヘル・ロドリゲスの3人を見事に使い分けている。モリーナ、マタは献身的な動きで、守備で貢献し、ポストで体を張り、裏抜けを繰り返すことができる。一方、アンヘルは抜群の技術で、けた違いの決定力を見せる。リーガでの9得点中、7点が途中出場から。ベンチにジョーカーを隠しているようなものだ。

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