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バルサが1週間で激変。新監督はこうして驚異の支配率を取り戻した (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 先制点も、交代出場のリキ・プッチ(リカルド・プイグ)が果敢に敵陣深くまで追い、ボールを奪ったところから生まれている。

グラナダ戦の後半26分から途中出場したリキ・プッチ(バルセロナ)グラナダ戦の後半26分から途中出場したリキ・プッチ(バルセロナ)「自分たちがボールを持っていれば、得点の可能性は増えるし、失点することもない」

 ヨハン・クライフがバルサに植え付けた攻守一体のプレースタイルを、セティエン・バルサはデビュー戦で取り戻した。

 得点は、エースであるメッシの1点だけだった。決定力の点では物足りない。相手選手が2枚目のイエローカードを受け、退場者を出すという"恩恵"も受けていた。しかし、バルサの攻撃が相手を、反則せざるを得ないほどに追い込んでいたのも事実である。

「我々はプレーをコントロールできていた」

 試合後、セティエンは語っている。

「グラナダ戦に向けて、『勇敢な戦いをしよう』と話していた。我々は後ろからボールを追うようなことはなかった。失ったら、強く奪い返した。その点、私は満足している。前半、4つの決定機を作って、それは決められたシーンだった。ただ、ゴールする、しないは、コントロールが難しい。(個人の)インスピレーションによるところだからだ」

 セティエン・バルサが、好スタートを切ったのは間違いない。予想以上の変化、改善があった。

 たとえば今シーズン、不振にあえいでいたセルヒオ・ブスケッツは、縦横に顔を出し、パスをさばき、チーム最多のボール奪取を記録し、別人のように見えた。バルベルデ監督時代は、バックラインまで下がらざるを得ず、プレーリズムを失ってミスを連発し、フォームを崩していた。グラナダ戦は相手のパスを分断する一方、攻撃でも簡単にラインを越え、プレーの渦を作っていた。

 そしてセティエン・バルサの象徴は、今シーズン初出場のプッチだろう。バルベルデ監督時代は、「フィジカルが弱く、バルサBで絶対的プレーを見せられていない」という評価で、トップ起用はほとんどなかった。しかしグラナダ戦では、ラ・マシア(育成組織)育ちの価値を示した。持ち前の技術とビジョンで、パススピードを上げていたのだ。

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