2020.01.21

バルサが1週間で激変。新監督はこうして驚異の支配率を取り戻した

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「1005」

 1月19日、カンプノウで行なわれたグラナダ戦で、バルセロナが挑んだパスの本数である(うちパス成功は921本)。多くのチームは、1試合で500本前後のパスしか回せない。彼らはその2倍ものパスを回した。

 数字は数字でしかないが、象徴的でもある。

 エルネスト・バルベルデ監督の解任を受けて、新たにバルサの指揮官に就任したキケ・セティエンは、リオネル・メッシのゴールで1-0と勝利を飾っている。白星以上に、プレー内容の変化は如実だった。1000本を超えるパスは2012-13シーズン以来で、進むべき道を示した。

 ボール支配率はなんと82.6%だった。支配率が7割近くになると、一方的な試合という印象になり、相手チームはほとんどサッカーをしなかった感覚になる。ジョゼップ・グアルディオラ監督時代の2010年4月に記録した86.5%には及ばなかったが、久々に80%を超えた。

「できたら、もっと速くボールを回したい」

 セティエンは言う。ボールプレーで敵を打ち負かす――。バルサはその"御旗"を取り戻したのだ。

 バルサ指揮官としてのデビュー戦となったグラナダ戦で、セティエンは変則的な4-3-3を用いている。

 左サイドバックのジョルディ・アルバが左ウィングに近いポジションを取って、左上がりの陣形。メッシとアルバのコンビネーション攻撃は出色で、ストロングを生かした形だろう。右サイドバックのセルジ・ロベルトが中に絞るために、3バックのようにも映った。アルトゥーロ・ビダルが3トップとMFをリンクさせるプレーも特徴的で、3-3-1-3にも近かったか。

 セティエンは、ボール技術と連係力を用いて相手を圧倒した。

 攻守の切り替えの強度も顕著だった。ボールを握って攻めることが第一だが、失った瞬間、取り戻すためのインテンシティも徹底されていた。アントワーヌ・グリーズマン、アンス・ファティの2人は前線から激しく守備。すぐにボールを取り返すことで、カウンターを防いでいたし、ボールプレーの継続を実現させていた。