夢の舞台の、その先へ。南野拓実が初陣で明かした感慨と反省 (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO



 ちょうどそのタイミングで「You'll Never Walk Alone」の大合唱がアンフィールドで始まった。この時、南野は少しばかり感慨に浸っていたという。

「試合が始まる前に、『あぁ、リバプールの選手の一員になったな』って。あらためて、というほどでもないですけど、『やっと試合できるな』っていうワクワクした気持ちがありましたね」

 この日のリバプールは、若手中心のメンバー編成だった。ケガ人が続出しているのに加え、クラブW杯と年末年始の過密日程をこなしたことで、レギュラーメンバーは疲労困憊の状態だ。そこでユルゲン・クロップ監督は、カップ戦でレギュラー陣に休養を与えた。

 世界最高峰と謳われるモハメド・サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノの3トップは、いずれもスタメン外となった。レギュラー陣と呼べるのはCBのジョー・ゴメスぐらいで、若手中心の「急造チーム」でエバートンとのマージーサイド・ダービーに挑んだ。

 そのなかで、南野は4−3−3のCFに入った。2トップ一角のセカンドストライカーならあるが、日本代表やザルツブルクでも南野のCF起用はほとんど記憶にない。ただ、このポジションで起用したあたりに、クロップ監督が24歳の日本代表を獲得した理由が見えた。

 試合序盤から、南野はピッチを広く走り回った。CFといっても前線中央にとどまることはなく、中盤まで降下してボールを受けたり、サイドに開いてパスを引き出した。まさにその役割は、レギュラーCFのフィルミーノと重なった。

「ゼロトップ」としてピッチを広く動いてパスを引き出し、高い技術を生かして攻撃のリズムを作る。そして守備時になると、相手CBにプレスを仕掛けた。南野は言う。

「合流して時間もあまりなかったし、監督も『いつもどおりの自分でプレーすればいいよ』って言ってくれた。そのまま、いつも自分がやっているとおりにプレーしようと思ってゲームに入りました。

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