菅原由勢、ポゼッションも疑似カウンターも狙うAZで成長。「いい流れ」 (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

「あれがAZのよさ。AZはボールを持つイメージがあると思いますが、それだけじゃなく、疑似カウンター(※)も狙っている。2本のパスでチャンスメイクできたことは、僕たちの新しい形かなと思います」

※通常のカウンターは相手ボールを奪った瞬間に敵陣のスペースを素早く突く。一方、疑似カウンターは自陣ペナルティエリア付近でポゼッションしている時に相手のプレスをかわし、生まれたスペースを突いてそこから一気呵成に攻め込むもの。

 このシーンで特筆すべきポイントは、トゥウェンテのプレスを必死にかいくぐる味方に対し、菅原が右サイドに張り続けてフリーのポジションをしっかりと確保していたことだ。

「(AZを率いる)アルネ・スロット監督の考えは、『中に人数がいたら(菅原は)外にいたほうがいい』というもの。僕もそう思います。無理して人がごちゃごちゃするよりも、サイドにいたほうが中にいる選手もフリーになるので。(18分のシーンも)中盤の選手がボールを持った時、『サイドに張っていたほうがいいな』と思ったら、それがいい形になった」


 結果、10人になったトゥウェンテは、割り切って後ろに下がり、守備ブロックを作ってきた。対するAZは、それをサイドアタックとミドルシュートでこじ開けにかかる。そして前半終了間際、ついにAZはCBパンテリス・ハジディアコスの強烈なミドルシュートで1-0とした。

「ああいうシュートがパッと入るのも、ウチのチームの調子がいい証拠だと思う。本当にいい流れができている」

 後半はワンサイドゲームとなり、55分にデ・ウィット、78分にはボアドゥが加点して3-0。後半立ち上がりに惜しいシュートを外した菅原は、75分にベンチに退いた。FWフェルディ・ドライフとの交代は戦術的理由によるもので、菅原の疲労も考慮されたのかもしれない。

「監督から『めちゃくちゃ行け』と言われていたので、前半からたくさん走った。戦術的な交代を行なう監督なので、(交代させられたのは)そんなにネガティブなことじゃない」

 試合を終えて菅原は、「自分たちのサッカーがより明確になってきた」と言った。彼が言う『自分たちのサッカー』とは、具体的にどういうものだろうか?

「非常にシンプルなサッカー。ビルドアップですらもポジションのかぶりが少ない。本当に無駄なパスがなく、常にゴールに向かったパスや前進するパスが多い。『選手がシンプルに理解できているなあ』と思う。

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