植田直通はダントツ最下位でもポジティブ「神様が試練を与えてくれた」 (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 だが、その後は徐々にセルクル・ブルージュが盛り返してくる。ゲンクは3日前にチャンピオンズリーグのリバプール戦があったため、その疲労の蓄積があったかもしれない。それでもセルクル・ブルージュは再三ゲンクのゴール前に迫り、あと一歩というところまで来た。

 ゲンクの「若き守護神」ガエタン・クーケのミラクルセーブがなければ、セルクル・ブルージュは勝ち点1を獲得できたかもしれない。しかしながら、ゴールの遠かったセルクル・ブルージュは惜しくも0-1で敗れた。

 昨季のベルギーリーグ王者に対して、予想以上に善戦した。しかし、第12節を終えて1勝11敗のダントツ最下位という事実も残った。

「勝者の精神」が宿る鹿島アントラーズからやってきた植田にすれば、このような経験はほとんどなかっただろう。

「そういう部分では、自分の人生において楽しいかなというのもありますが......でも、なんでしょうね」

 そう語ったあと、一拍置いてから言葉を続けた。

「こういうチームを、どういうふうに立て直していくのか――。そういうことを考えることが僕には必要だと思う。ここからチームを立て直していければ、必ず僕の成長につながる。神様が試練を与えてくれた。

『こんなに勝つのが難しかったっけ』『こんなに点を獲るのが難しかったんだ』。そういう思いはこれまでなかったこと。これからチームは、少しずつよくなってくると思います」

 この日のゲンクの2トップは、昨季の得点王ムブワナ・アリ・サマタと、201cmの長身を武器とするポール・オヌアチュだった。

 彼らとの空中戦について、「僕も考え方がかなり変わった」と植田は語る。

「日本では、普通に飛んでも勝てるような相手がたくさんいました。ですが、今日は2メートルを超える相手でしたし、ベルギーには速くて強い選手がかなりいる。そうした選手を相手にどうやって勝負するか......というのを去年から考えて実践している。

 その技術に関して、かなりうまくなったという実感がある。自由に競らせないために、相手とのポジション争いはこだわってやっている。そこはかなり技術がついたと思います」

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