欧州サッカー通3人が指摘。レアル&バルサが今季も苦戦必至の理由
サッカーの試合実況で日本随一のキャリアを持つ倉敷保雄、サッカージャーナリスト、サッカー中継の解説者として長年フットボールシーンを取材し続ける中山淳、スペインでの取材経験を活かし、現地情報、試合分析に定評のある小澤一郎――。この企画では、経験豊富な達人3人が語り合います。今回は、今季序盤のビッグクラブのパフォーマンスについて、3回に渡ってお送りします。まずはスペインの2大クラブからです。
ケガ人が多く、不安定な戦いが続いているレアル・マドリー――今季の欧州チャンピオンズリーグ(CL)はグループステージ2節を終えたところですが、今回はお三方に優勝候補と目されるレアル・マドリー、バルセロナ、リバプール、マンチェスター・シティ、ユベントス、パリ・サンジェルマンについて、チーム状況などを踏まえて分析していただきたいと思います。まずは、スペインの2大ビッグクラブ、レアル・マドリーとバルセロナからお願いします。
<ジダン監督が強調する「インテンシティ」。
レアル・マドリーは守備を整えて調子を出したい>
倉敷 では、レアル・マドリーから。パリ・サンジェルマン、ガラタサライ、ブルージュと同組で勝ち抜けはそう難しくないと見ていましたが、いきなり初戦のパリ戦をアウェーとはいえ0-3というスコアで落としてしまいました。小澤さんは今季のマドリーをどのように見ていますか?
小澤 まずは、夏の移籍マーケットで最初の問題を抱えてしまいました。ジネディーヌ・ジダン監督がほしかったポール・ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)の補強に失敗したうえ、ガレス・ベイル、ハメス・ロドリゲスといった、余剰戦力と見られていた大物の売却先を見つけられなかった。ある意味、爆弾を抱えたままシーズンの開幕を迎えたのですが、逆に、残留した彼ら2人が意外と活躍してくれているのはうれしい誤算なのではないでしょうか。
中山 開幕前まではベイルの放出は既定路線とされ、ジダン監督もそれを前提とした準備を進めていたはずなのに、結局、序盤は故障者が続出したことで皮肉にもベイルの活躍が目立った恰好になりました。ジダン監督もベイルに期待をするような発言をしたりして、完全な手のひら返しでしたね。
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