世代交代の波に抗う吉田麻也。完敗の試合後、監督室のドアを叩いた (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 ところが、サウサンプトンは数的優位を生かせず、1-2で敗戦──。前半にGKのミスと相手のカウンターからふたつのゴールを許し、攻撃陣もひとり少ないトッテナムの壁を打ち破れなかった。試合後、吉田は次のように振り返った。

「相手がひとり退場したあと、もっとアグレッシブに行くべきだった。(退場後にチーム全体が)ちょっとホッとしてしまったというか......。インテンシティも落ちてしまった。

 後半、自分たちが追いかける立場になったけど、いつもカウンターサッカーしかしてないので、自分たちが主導権を握り、ファイナルサードで切り崩すことが全然できない。イマジネーションもないし、どうやって動くとかもない。それでもクロスからチャンスを作ったが、相手の守備も固かった。もっと前に人をかけて、横、横ではなく、前に、前にボールを運ぶべきだった」

 吉田が「ほんとすごい選手」と語気を強めたのが、対峙したケインについて話が及んだ時だった。プレミアリーグ得点王に2度輝いているケインについて、「どこに気をつけていた?」と聞いてみると、「全部」と答えてから、次のように言葉を続けた。

「『スペースを与えてはいけない』と思っていたのと、やっぱり受け身になってはいけないなと。先手、先手で、アグレッシブに行くことを意識した。ケインはそんなに大きくないんだけど、身体がめちゃくちゃ強いんですよ。そして、速い。

 今日の試合では、完全に(CBのヤン・)ベドナレクのほうに流れてプレーしていて、そこでことごとく勝てず、ことごとく起点を作られた。賢いなと思いました。毎回、点を獲られている。だから、絶対に点を獲られたくないと思っていた。でも、自分じゃないところで獲られたら、どうしようもないです」

 とはいえ、吉田としてはレギュラー奪取に向けて、大きなアピールになったのは間違いない。試合には勝利できなかったが、英紙『タイムズ』が吉田にチーム最高点の「7点」をつけたように、攻守に奮闘した。

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