2019.10.01

世代交代の波に抗う吉田麻也。
完敗の試合後、監督室のドアを叩いた

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

「このチャンスを生かしたいと思っていた」

 試合後の取材エリアで残した吉田麻也の談話で、最も印象的だったのはこの言葉だった。

ハリー・ケインを止めるべく、身体を張って対応する吉田麻也 これまで、国内リーグ戦における吉田の先発は6試合中2試合のみ。現在の立ち位置は、先発と控えを行き来する「準レギュラー」である。

 その吉田に、大きなチャンスが回ってきた。9月28日に行なわれたプレミアリーグ第7節のトッテナム・ホットスパー戦で、今季3度目となる先発出場を命じられたのだ。昨シーズンはレギュラーとして稼働していただけに、吉田も強豪との一戦で好パフォーマンスを見せ、レギュラーの座を再奪取しようと意気込んでいた。

 サウサンプトンのラルフ・ハーゼンヒュットル監督がピッチに送り出したのは、吉田を3バックのCB中央に配した3-4-3。イングランド代表FWハリー・ケインや韓国代表FWソン・フンミンら強力なアタッカーを擁するトッテナムに対し、日本代表DFは立ち上がりから守備で奮闘した。

 1トップのケインの足もとにパスが入りそうになると、吉田は最終ラインを飛び出してインターセプト。ケインにロングボールが入っても、空中戦で競り負けることはなかった。

 そんな吉田とサウサンプトンに追い風が吹く。前半31分、トッテナムのDFセルジュ・オーリエが2枚目の警告で退場処分となったのだ。

 残り60分近くの時間を、サウサンプトンはひとり多い状況で戦うことになった。トッテナムがケインを最前線にひとり残した4-4-1に変更すると、吉田は敵のカウンターに警戒しながら最終ラインを束ねた。

 吉田がより頼もしく見えたのは、ここからだった。

 後半17分には、CKをドンピシャのタイミングで合わせてヘディングシュートを放ったが、GKウーゴ・ロリスのファインセーブに阻まれた。一方の守備でも、”一発”のあるケインに落ち着いたディフェンスで対応。イングランド代表FWの鋭い切り返しにもついていき、うまく身体を入れて突破を許さなかった場面では、アウェーに駆けつけたサウサンプトンのサポーターから拍手が起きた。