世代交代の波に抗う吉田麻也。
完敗の試合後、監督室のドアを叩いた (3ページ目)
振り返れば、前節のボーンマス戦で吉田はベンチスタートを命じられていた。最後まで出番が与えられなかったこの試合で、日本代表DFはハーゼンヒュットル監督の起用法にまったく納得がいかない様子だった。
というのも、前々節のシェフィールド・ユナイテッド戦で先発し、1-0の無失点勝利に貢献していたからだ。「勝っているチームはいじらない」との格言があるとおり、次の試合のボーンマス戦で先発すると本人も信じていた。
しかし、スターティングメンバーに日本代表DFの名はなかった。しかも、チームはお粗末な失点を重ねて1-3の完敗......。試合後、吉田は「監督と話さないといけない」と、指揮官と意見交換する意向を示していた。
その言葉どおり、監督室のドアを叩いたという。「具体的なことはあまり言うつもりはない」と前置きしたうえで、次のように明かした。
「簡単に言うと、監督は若い選手が好きなんですよ。(前所属先のドイツ1部)ライプツィヒでも25歳以下の選手を中心にしてやっていた。25歳以下ということは、(31歳の)僕はそこから6歳も離れている。監督の考えを覆すためにも、パフォーマンスで示すしかない。僕の立場で与えられたことをこなして、結果を出していくだけです」
ハーゼンヒュットル監督は2016年5月、当時2部から昇格してきたばかりのライプツィヒの指揮官に就任した。開幕から予想外の快進撃を見せ、昇格1年目ながらブンデスリーガ2位という輝かしい成績を残した。
この時、ファーストチームの平均年齢は23.9歳。同シーズンのブンデスリーガにおいて、最も若いチームで戦った。おそらく、ライプツィヒでの成功体験が監督の考えの根底にあるのだろう。
対する今季サウサンプトンの平均年齢は25.7歳。既存のスカッドから若返りを図ろうとしているのは、FWチェ・アダムス(23歳)やFWムサ・ジェネポ(21歳)、DFケビン・ダンソ(21歳)といった今夏の新戦力が揃って20代前半であったことでもうかがえる。
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