久保建英はなぜマジョルカを選んだのか。
新天地の環境と指揮官の特徴は
レアル・マドリードの久保建英は、同じくスペイン1部のマジョルカに期限付き移籍することが決まった。8月22日、マジョルカは公式ホームページで久保の入団を発表した。契約は2020年6月末まで。23日の午前中の練習から久保はチームに合流することになった。
マジョルカへの期限付き移籍が決まった久保建英 マジョルカ空港に到着した久保は、報道陣のインタビューに歩きながらスペイン語で答えている。
「たくさんのことを考えて、今ここにいる。プレーするのがとても楽しみ」
久保の新天地は、かつて大久保嘉人(ジュビロ磐田)、家長昭博(川崎フロンターレ)が所属したマジョルカになった。なぜ彼はマジョルカを選んだのか――。
この夏の北米ツアーで、久保の株は急上昇した。これによって、レアル・マドリード内での立場は劇的に変化している。当初はセカンドチームであるカスティージャで経験を積むはずだったが、「2部B(実質3部)ではレベルが低すぎる。プレーも荒っぽすぎるし、ケガをしかねない。久保は1部でプレー経験を積むべきだ」という意見がクラブ内で高まった。
そこでまず移籍候補に浮上したのが、昨シーズン、1部に残留したバジャドリードである。元レアル・マドリードの伝説的選手で、ブラジル代表としても世界王者になったロナウド会長の猛烈な推しがあった。
しかし、話は思うように進展していない。
バジャドリードのセルヒオ・ゴンサレス監督は、選手時代に、エスパニョールで西澤明訓のフィーバーを目の当たりにしている。セルヒオは保守的で安定したマネジメントを好む監督だけに、メディアスターとしての久保が入る混乱を憂慮していたと言われる。久保の場合、当時を凌駕する騒ぎになる可能性もあった。また、セルヒオは同じレアル・マドリードのブラジル人FWロドリゴを求めていたようだ。
一方で現場のジネディーヌ・ジダン監督は、「久保を手元に置きたい」と考えていたという。カスティージャでラウル・ゴンサレス監督のもと、試合経験を積みながら、同時にトップチームで練習を重ねる。そのうえでトップ昇格の可能性もあった。
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