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揺らぐバルサ、レアルの牙城。
リーガに波乱を起こすチームはどこか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

 いずれにせよ、2強の牙城は揺らいでいる。

 今シーズン、旋風を巻き起こしそうなのは、ディエゴ・シメオネ監督率いるアトレティコ・マドリードだろう。プレシーズンマッチでは、ド派手な攻撃力で7-3とレアル・マドリードを粉砕。ロナウド擁するユベントス戦も、猛烈な攻撃を浴びながらも最少失点に抑え、2-1で勝利した。

 その2試合で、ひときわ輝きを放ったのが、ポルトガル代表FWジョアン・フェリックスだ。

 ジョアン・フェリックスの才能は、卓抜したスキルとビジョンの広さ、判断の適切さにあるが、単に"うまい"選手には収まらない。2試合ともゴールを決めたように、抜群の得点能力を誇る。ユベントス戦で決勝点になったシーンで見せた、ロングパスに滑り込みながら合わせたダイレクトボレーなど、アクロバティックなゴールも得意とする。メッシ・ロナウド時代を継ぐ有力候補だ。

 アトレティコは鉄壁を誇る守備がクローズアップされてきたが、ジョアン・フェリックスを得てポゼッションにシフトし、烈火の攻撃力を見せつつある。

 伏兵として名前を挙げたいのは、昨シーズンも4位と健闘したバレンシアだ。4-4-2でポジション的優位を作り、攻守のバランスが向上。スペイン代表MFダニエル・パレホのかじ取りは、バルサのセルヒオ・ブスケッツにも比類する。前線に配したフランス代表ケヴィン・ガメイロ、ポルトガル代表ゴンサロ・グエデスらによるスピードと馬力を持つカウンターの威力は欧州屈指だ。

「このレベルでプレーできたら、上位に食い込める」

 前哨戦となったインテル戦で1-1と互角に戦った試合後、マルセリーノ・ガルシア監督は言い、自信を深めている。

 大穴は、レアル・ソシエダか。主力の半数は下部組織出身者で、その団結力がチームの土台になっている。なかでも22歳のスペイン代表FWミケル・オヤルサバルは、ジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ)が獲得を熱望する左利きのファンタジスタで、覚醒の予感がある。同じ22歳のスペイン人MFイゴール・スベルディアも、「将軍」と言われたシャビ・アロンソの後継者だが、今シーズンはセンターバックとしてゲームを操る役を担うことになるかもしれない。そして17歳のスペイン人アタッカー、アンデル・バレネチェアも鋭いドリブルで抜け出し、力強いシュートを見せ、凄みを感じさせる。

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