気負いはなし。オランダAZへ移籍の菅原由勢はとにかくポジティブだ

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Ed van de Pol/Soccrates/Getty Images

 オランダリーグ開幕節。名古屋グランパスからAZアルクマールに期限付き移籍で加入した菅原由勢が、フォルトゥナ・シッタート戦でフル出場を果たし、4-0とするゴールを決めた。試合後、ミックスゾーンに現れた菅原は「いやー、ラッキーです」と大声でひと言。自分もラッキーだし、それを見に来ていた取材陣もラッキーだと言って、場を和ませた。

オランダリーグ開幕戦でゴールを決めた菅原由勢(AZアルクマール)オランダリーグ開幕戦でゴールを決めた菅原由勢(AZアルクマール) オランダでの菅原はとにかく楽しそうだ。場内で流れた選手紹介の映像では、リラックスして寿司を食べている。SNSでアップしているのは、武道というより、コテを振り回す鉄板焼き店の大将のようなポーズだ。開幕戦でゴールを決めると、スタンドの観客を煽り、チームメイトとはしゃいだ。

 19歳という若さからだろうか。そこには「海外で結果を出さなければいけない」「助っ人としての役割を果たさなければいけない」といった気負いは感じられない。純粋に初めての海外での生活とプレーを楽しんでいるように見受けられた。

 リーグ戦に先立ち、7月25日に行なわれたヨーロッパリーグ(EL)予選2回戦、BKヘッケン(スウェーデン)戦の第1戦に途中出場してデビュー。8月1日に行なわれた第2戦では出番がなく、この日は右SBで先発メンバーに名を連ねた。

「自分自身の力の無さを感じて、それを忘れないようにと思って、試合(EL予選2回戦第2戦)が終わってから2日しかなかったですけど、この試合のために練習してきた。それを継続して、毎日101パーセントの力を出し切りたい」

 100パーセントではなく101パーセントで、少しずつ過去の自分を乗り越えていくのだそうだ。

 前半はボールを受けるシーンが少なかったが、AZが得点を重ね、守備に余裕が出たこともあり、後半は菅原にボールが回ってくるようになった。

「前半は僕とケルヴィン(・ステングス、右MF)の連係が中途半端なところがあって、イマイチ怖さが出せていないと感じていた。もし僕が逆の立場だったらと考えると、ボールが出なくても、走られたらついていかなきゃいけないですし、ついていかないとパスを出される。相手のいやがることをとにかくしようと思って、パスが来る、来ないは関係なしに、自分をアピールするために走っていました」

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