2019.08.06

フローニンゲン板倉滉の「なにくそ」精神。
デビュー戦を無失点で飾る

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 昨季、フローニンゲンが本拠地ユーロボルフで試合を終えた後、板倉滉は更衣室からピッチに戻ってきた控えの仲間たちとスプリントを繰り返していた。その姿が忘れられない。

 今年1月、川崎フロンターレからマンチェスター・シティに移籍し、フローニンゲンへと貸し出された板倉は、ほとんど毎試合ベンチに入ったものの、公式戦出場は叶わなかった。

センターバックとして先発し、勝利に貢献した板倉滉 ピッチの上での経験は嘘をつかない。半年間にわたるフローニンゲンでの実戦経験の乏しさは、日本代表の先発に抜擢されたウルグアイ戦で、立ち上がりの不安定なプレーに表われていた。しかし、その後の立ち直りの早さと、エクアドル戦での高いパフォーマンスは、板倉がオランダでしっかり自分と向き合い、クサることなく努力し続けてきたことの表われでもあった。

 この夏、フローニンゲンは6月28日のセリンゲン戦を皮切りにプレシーズンマッチを9試合行ない、そのすべてに板倉は出場した。板倉とマイク・テ・ウィーリクのセンターバックコンビはほとんどの試合に先発し、途中出場するときも一緒にピッチに入ることが多かった。

 目的は明らかだ。それは、ふたりのコンビの「熟成」にある。8月3日に行なわれる今季開幕戦のエメンとのアウェーゲームに、板倉の先発出場が決まっていたからだ。

 26分、サイドに流れたエメンのFWマルコ・コラルに対して激しくチャージにいった板倉にイエローカードが出た。だが、その後も落ち着きを失うことはなく、時には積極的にインターセプトを狙った。空中戦では周囲の状況を察知しながら、しっかりと味方につなぐシーンも目についた。

 ただ、テ・ウィーリクとのコンビがよかった半面、左SBアミル・アブサレムの裏を突かれた時の対処は、やや甘かった感がある。縦にパスをつける回数も、もう少し増やしたいところだ。しかしながら、昨季2敗と苦手にしたエメン相手のアウェーゲームで、さらにはダービーマッチという環境を思えば、かなり安定した出来だったと言える。