今季欧州CL総括。次のサイクルに入って覇権を握るクラブはどこか? (4ページ目)

  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

倉敷 中山さん、パリはいかがですか?

中山 パリのサイクルを考えた場合、ネイマールを獲得した時点でかなり本気度は上がっていると思います。でも、その肝心のネイマールが2シーズン続けて大事な終盤戦で負傷して戦列を離れてしまった。CL優勝を狙うチームの実力はシーズン後半戦に見えてくるものだと思うので、そういう点では、ネイマールが加わってからのパリのマックス値はまだ見えていないと思います。

 ただ、最近のネイマールは頻繁に負傷するようになっていて、コパ・アメリカも直前でケガをして離脱したうえ、ピッチ外のスキャンダルなど心配になってしまう要素が多すぎます。ネイマールが万全で戦えない状態が長く続くと、キリアン・エムバペの心もパリから離れてしまうのではないでしょうか。

倉敷 クロップというドルトムントでの先輩が先にチャンピオンズリーグで結果を出しました。パリを率いるトーマス・トゥヘルはクラブと契約を延長しましたが、現在どの段階まで優勝を狙えるチーム作りは進んでいるのでしょうか。トゥヘルも少しやり方を以前と変えていますが、手応えはどうでしょうね?

中山 今季はシーズン前半戦と後半戦がまったく別のチームになった印象があるので、はっきりとした手応えは得られていないのではないでしょうか。とくにユナイテッドに敗れたあとの戦いぶりを見ていると、トゥヘルの力のなさが見えてしまいました。それは、マネジメントというか、選手をコントロールする部分ですね。彼はパリに来てスター選手に迎合するところから自分の立場を作り上げた部分があるので、選手のモチベーションが低下した状況で鞭を入れることを恐れたがゆえに、グダグダなシーズンの終わり方になってしまったのだと思います。

 ただ、サイクルの変化という点に関しては、アンテロ・エンリケに替わってスポーツダイレクターのポジションにレオナルドが復帰したので、ダニエウ・アウヴェスの退団が発表されたように、いくつかの変化が生まれることは間違いないでしょうね。

倉敷 小澤さん、レアル・マドリーについてはいかがですか?

小澤 この夏にこれだけの補強をしているので、来季は少し立て直しが図れると思います。エデン・アザールは左サイドでプレーすると思いますが、問題なく活躍するでしょう。それによってヴィニシウスが右サイドに移って、今季とは違ったプレーを見せてくれるのではないかという期待感もあります。これに1トップのカリム・ベンゼマを加えた新3トップが、来季のカギを握るでしょうね。

 あとは、中盤にポール・ポグバかエリクセンが加われば、また新しいサイクルが始まる気がします。いずれにしても、来季はラ・リーガでもCLでも主役の座を取り戻すという意気込みが伝わってくるので、間違いなく面白くなるのではないでしょうか。

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