2019.06.28

今季欧州CL総括。次のサイクルに入って覇権を握るクラブはどこか?

  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

蹴球最前線──ワールドフットボール観戦術── vol.70

 サッカーの試合実況で日本随一のキャリアを持つ倉敷保雄、サッカージャーナリスト、サッカー中継の解説者として長年フットボールシーンを取材し続ける中山淳、スペインでの取材経験を活かし、現地情報、試合分析に定評のある小澤一郎――。この企画では、経験豊富な達人3人が語り合います。今回のテーマも、今季欧州チャンピオンズリーグ(CL)の総括。有力クラブの戦いを振り返り、今後の補強ポイントを語り合った。

CLで優勝して胴上げされるリバプールのクロップ監督――前回は、お三方にリバプールとトッテナムによるチャンピオンズリーグ(CL)決勝戦を振り返っていただきました。そこで今回は、決勝戦に残った両チームを含めた有力チームの戦いぶりから、今季のCL全体を総括していただきたいと思います。

倉敷 まずファイナルを戦った両チームから。サポーターたちは優勝、あるいは準優勝という結果に黄金期の到来を夢見るでしょうが、サイクルで見ると現在の両チームはどのような状況にあるのでしょう。まずは優勝したリバプールから。ここからどう上積みすべきか、成熟度が増したことで来季も王者の道を歩んでいくのか。中山さんは率直にどんな印象をお持ちですか? 

中山 ユルゲン・クロップが監督に就任したのは2015年10月だったので、ここまで約4シーズンが経過したわけですが、チームの成熟度という点も含めて、現在持っている力をほぼ出し尽くした感のある今季がピークのように感じます。当然、今季はCLを制したので、来季からは念願のプレミアリーグのタイトルを目指すことになると思いますが、そのためには現状維持ではなく、チームに何らかの変化を加えながら進化させてく必要があるのではないでしょうか。

 たとえば、現有戦力を単純に比較した場合、今季のプレミア王者のマンチェスター・シティには質の部分も量の部分も及ばないという印象を受けてしまいます。フロントがどのように考えているのかわかりませんが、本当にリーグ戦のタイトルをほしいと考えるなら、夏の移籍マーケットでそれなりの補強をしないと難しいと思います。かつてサー・アレックス・ファーガソンが率いた時代のマンチェスター・ユナイテッドは、そこが上手でした。勝っているときも常にチームに変化を加えて刺激を与えることで、サイクルを終わらせないような工夫がなされていました。

 そういう意味では、とくに鉄板の3トップに代わる新しい組み合わせの発掘が、来季に向けた課題と言っていいかもしれません。もちろん、クロップをバイエルンに引き抜かれないという前提の話になりますが。

倉敷 リバプールのフロントもファンもリーグ制覇を強く望んでいますが、国内リーグの王者シティとの力の差はどの程度か、お二人はどう見ていますか?

中山 長いリーグ戦を戦うチームとして比較した場合、現時点ではシティのほうが少し上にいる。たしかに成熟度ではリバプールに軍配は上がりますが、選手の組み合わせ、欠場者が出た場合のやり繰り、停滞したときの変化のつけ方などはシティが上回っている印象があります。シーズンは長いうえ、複数の大会を並行して戦うことを考えた場合、そこがネックになってしまいます。