久保建英をスペイン人記者が分析「バルサ出身者の特徴を感じる」

  • ハビ・シジェス(スペイン紙『as』記者)●文 text by Javi Silles
  • 江間慎一郎●翻訳 translation by Ema Shinichiro

 日本のコパ・アメリカでの冒険が終わり、久保建英のキャリア、ひいては日本のフットボールにとっての以前と以後が刻まれる時が、ついにやって来る。

 まだ年端も行かぬ選手がブラジルで披露したパフォーマンスは、レアル・マドリードの大々的な獲得発表としっかり同調していた。この「白い巨人」が、Bチームであるカスティージャの補強選手について報告することは、極めて稀である。しかし久保に限っては、まるでトップチームの選手獲得に近い形での発表がなされ、地上波放送のクラブ公式専門チャンネル『レアル・マドリードTV』やSNSで、そのプレー映像を何度も紹介したのだった。

 レアル・マドリードの本拠地サンティアゴ・ベルナベウにあるクラブオフィスでは、久保のことをクラブの戦略上にある大切な選手と捉えている。それはスポーツ面において将来を期待でき、なおかつアジア市場からの注目を集められる存在であるためだ。クラブの海外スカウト責任者であり、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ、エデル・ミリトンらの獲得を主導してきたフニ・カラファトは、そうした考えから、バルセロナが取り戻そうしていた久保もクラブに引き入れるべく、数カ月にわたって心身を捧げたのである。

スペイン人記者はエクアドル戦の久保のプレーを高評価 photo by Watanabe Kojiスペイン人記者はエクアドル戦の久保のプレーを高評価 photo by Watanabe Koji レアル・マドリードが久保にかける期待は、今回のコパ・アメリカの活躍によって確固たるものになった。18歳になった久保の身長は173センチと、物足りないようにも思える。だが、彼が実際に芝生の上で披露するプレーが、そうしたネガティブな要素を杞憂としてしまう。一見して脆弱そうなその身体には、世界のトップレベルにも到達し得る強烈な才能が秘められている。たとえばコパ・アメリカの初戦、チリ戦のパフォーマンスだ。彼は類い稀なテクニックとプレーの読解力によって、わずかなスペースでも輝けることを証明した。コパ・アメリカのグループリーグ第1節で最も多くのドリブル突破(6回)を記録し、全世界のレアル・マドリードファンの期待に応えるどころか、一気に魅了してしまったのだ。

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