ロナウドより輝いた。ポルトガルの新エースがネーションズリーグMVP (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • ムツ・カワモリ●撮影 photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 決勝点の場面でも、ベルナルド・シウバが重要な役割を果たしている。後半序盤、完全にペースを握ったポルトガルは、左サイドでレフトバックのラファエル・ゲレイロがゴンサロ・グエデスにパス。これをうまくスルーしたところにベルナルド・シウバが走り込み縦に運ぶと、後ろから高速で回り込んでいたグエデスが呼ぶ。ボックス際に折り返されたボールを背番号17が渾身の一振りで仕留めた。ベルナルド・シウバは準決勝のスイス戦に続いて、今大会2度目のアシストを記録した。

「ゴンサロが叫んでいたのが聞こえたので、彼がどこにいるかは把握していなかったけど、ボールを右方向に落としたんだ。幸運にも、見事なフィニッシュで決めてくれた」

 と、ベルナルド・シウバは地元テレビ局の質問に答えている。こうした勘もまた、ストリートで養われたものかもしれない。ポルトガルの背番号10は、そんな自分を形成してくれたものや人々に感謝する。

「ポルトガルの人々に、ありがとうと言いたい。信じられないほどすばらしいシーズンを送れた最後に、またこんなタイトルに恵まれたのだからね。マンチェスター・シティのチームメイトやサポーターにもお礼を言いたい。来シーズンはもっと良くなるように努力する。それから、今日の対戦相手のオランダにも。彼らはすばらしいトーナメントを送り、とても難しい相手だった」

 地に足のついたナイスガイがここ2年で急成長を遂げ、クラブと代表でトロフィーを手にした。大エース、クリスティアーノ・ロナウドにも劣らないクオリティーで母国にタイトルと喜びをもたらした小柄な新エースが、来シーズン以降も欧州トップ戦線を賑わすに違いない。

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