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CL決勝を杉山氏が現地で戦術分析。
両チームとも通常と違うキャラだった (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 リバプールと言えば挑戦者だ。大昔はともかく、少なくともCL史におけるキャラはこれだ。語り草になっているイスタンブールの一戦(0-3から3-3に追いつき、PK戦でミランに逆転勝ちした2004-05シーズン決勝)にしても、番狂わせの背景にあったのは、後半開始早々から仕掛けたプレッシングにあった。

 リバプールらしさの象徴というべきこの高い位置からの仕掛けは、今回、ほぼないに等しかった。1-0でリードすると、すっかり受けて立った。CLの舞台では挑戦者の立場でいられるが、同じプレミアリーグのスパーズとの関係になると、そうはいかなくなるのだろう。CLでここまでおとなしいリバプールを見るのは、初めてだった。後ろで守る傾向は、時間の経過とともに顕著になっていった。

 リバプールの代名詞をプレッシングとするならば、スパーズはその逆だ。5バックになりやすい3バックで戦うこともよくある話で、この決勝戦でもどう出るか、布陣に注目が集まったほどだ。マウリシオ・ポチェッティーノ監督が最終的に選択したのは4-2-3-1だったが、それはけっして攻撃的とは言えないものに見えた。

 しかし、一発勝負の決勝戦で先制を許せば、そうはいかなくなる。攻めざるを得なくなる。ワンダ・メトロポリターノのピッチ上には、お互いの通常とは異なるキャラが描かれることになった。

 リバプールが攻めて、スパーズがカウンターで応酬する。これが両者の通常の関係になるが、この決勝戦ではその関係が崩れることになった。スパーズが攻めてリバプールが守るという、噛み合わせのよくない試合になってしまった。リバプールの看板FW、サラー、ロベルト・フィルミーノ、マネの3人は、音なしの状態が続いた。

 スパーズの時間が長く続くと、その攻撃力が問われることになった。その中心にいたのはソン・フンミンだ。4人いるスパーズのアタッカー陣の中で、最も可能性の高いプレーをしていたのがこの韓国代表選手だった。

 韓国人選手としては、マンチェスター・ユナイテッドにいたパク・チソンに次ぐ2人目の決勝進出者だ。ローマのオリンピコで行なわれた2008-09シーズンの決勝戦(バルセロナ対マンチェスター・ユナイテッド)と同様、スタンドには大きな韓国国旗が揺れていた。

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