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日本も導入のVARとの正しい付き合い方。決めるのは人間で機械ではない (4ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 この場面で、当初トゥルパン主審はそれをハンドと見なさなかったが、VAR担当のチェックによってボールが当たっていたのはお腹だったことが確認されたため、当初の判定が覆ることはなく、リプレー映像を確認することもなかった。

 このように、エラリー氏の説明にそれぞれのシーンを当てはめてみると、VARがほぼ正しく運用されていたことがわかる。最終判定は、レフェリーが下していることも明白だ。

 とはいえ、すべてのVAR判定がこの試合のように正しく運用されているとは限らないのが実情だ。たとえば、似たようなシーンにおいてVAR判定を使って判定を下すケースとそうでないケースもある。あるいは、ハンドか否かの判定(ハンドリングの解釈変更についてはすでに正式発表されている)など、そこには人間の主観が大きく関わってくるため、どうしても論争は巻き起こってしまう。

「VARはビデオ・"アシスタント"・レフェリーであり、ビデオ・レフェリーではありません」

 説明の最後にエラリー氏が語ったこの言葉が、結局はVARを理解するためのキーワードなのかもしれない。

 そういう意味では、テクノロジーという言葉のイメージにとらわれることなく、人間がそうであるように、VARも完璧ではないという大前提を理解したうえで見ていくしかないだろう。そこに、VARとの正しい付き合い方のヒントが隠されている。

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