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EL3連覇を成し遂げた策士エメリは、
アーセナルも頂点に導けるか (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 先制点は、この流れから生まれた。中盤でのボールカットを起点に、1、2の少ないタッチで5選手を経由。最後はアーロン・ラムジーが華麗にネットを揺らした。

 また、2点目もアーセナルの攻勢を象徴していた。前線から囲い込むようにして素早くプレスをかけ、ルーカス・トレイラがフィールドの高い位置でボールを奪取。ショートカウンターにつなげ、相手のオウンゴールを誘発した。

 アーセナルが前半に放った枠内シュート数は6本に達した。今季のナポリのスタッツを確認すると、前半に記録した「被・枠内シュート数」としてはシーズン最多であり、いかにアーセナルが押し込んでいたかがわかる。前半のナポリは、アーセナルが持ち込んだハイテンポのサッカーに対応できなかった。

 ところが、アンチェロッティ監督に率いるナポリも黙っていなかった。後半からプレスを強化し、ハイラインを敷くアーセナルDFの裏をロングパスで徹底的に突いた。

 ナポリの決定機は2回と少なかったが、72分に掴んだ決定的なチャンスをピオトル・ジエリンスキが決めていれば、「第1戦の流れ」と「第2戦の展望」は大きく変わっていただろう。対するアーセナルは、ハイラインを保ったままフォーメーションを5-4-1に変更して対応しようとしたが、ナポリの攻撃を寸断できなかった。無失点に抑えたとはいえ、この点は第2戦に向けて課題となった。

 指揮官のエメリは、試合を通してタッチライン際のテクニカルエリアで指示を出し続けた。プレスをかける位置やパスを出す位置、ポジション取りなどを大きな身振り手振りを交えて伝える様子から、徹底して細部にこだわる監督であることが伝わってきた。

 そのせいだろう。試合後の記者会見でも「勝利はいい結果」としながらも、「喜びは半分しかない」と語り、第2戦に向けて気を引き締めた。

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