CL3連覇の主役たちは劣化していた!レアル敗退には歴史的意義がある (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 それはユベントスに移籍したロナウドの穴だ。そしてそれはヴィニシウスの台頭で埋まったかに見えた。しかしその間、ベイルが劣化していた。ポジショニングやコミュニケーションに問題を抱える困った選手に成り下がっていた。BBCは事実上、ベンゼマひとりになっていた。

 アセンシオ、バスケス、ヴィニシウスはいわばウイングだ。高い得点能力を秘めた選手もベンゼマだけになっていた。

 ルカ・モドリッチ、トニ・クロース、カゼミーロの中盤3人も、4連覇を狙うには、いささか新鮮味に欠けていた。中でもクロース、カゼミーロの2人は、アヤックスの若い中盤と比較すると物足りなさを感じた。峠を越えた選手に見えた。

 この敗戦を受けて、ソラーリ監督が解任されるのは時間の問題だろう。後任が誰になるか、定かではないが、この敗退劇は監督の問題というよりクラブの問題だ。3連覇を達成した時点で監督を退任したジネディーヌ・ジダンの選択が、いまさらながら正しく見える。

 CL3連覇を達成したチームが、以降もそれと同じ勢いを保つには、選手の出し入れを含めたクラブの賢明な判断が求められる。マンネリ化を恐れれば、監督も代えるべきかもしれない。ジダンにはそれがわかっていたのだ。

 逆に言えば、よくここまで持ちこたえたなという気さえする。

 2連覇でさえ1988-89、89-90シーズンを制したミラン以来の出来事だった。3連覇に至っては1973-74、74-75、76-77のバイエルン以来41年ぶりだった。欧州サッカーの歴史的見地に立てば、レアル・マドリードはよくやったと言うべきではないか。

 そして繰り返すが、それを止めたチームがアヤックスだったことにも歴史的な意義を感じる。レアル・マドリード3連覇後の欧州サッカーは、どのような方向に進むのか。我々はいま、時代の変わり目に立たされている。

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