アジア杯に呼ばれずベルギー人は驚き。鎌田大地が新ポジションで好感触 (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 だが、後半は「今季ベルギーリーグ最高のチーム」との誉れ高い首位ゲンクが本領を発揮する。シント・トロイデンは試合の流れを奪われ、2−3の逆転負けを喫した。

「我々はけっして、自陣に引いて下がるサッカーをしようとしたわけではなかった。だが、ゲンクのクオリティの高さの前に、引かされてしまった」(試合後のブライス監督)

 この日のシント・トロイデンは、中盤も含めてマンツーマンディフェンスの戦術を取った。鎌田が対峙したのはノルウェー人の若手巨漢MFサンダー・ベルゲ。前半は鎌田がイニシアチブを握ったが、後半はベルゲの縦へのドリブルに対して守備に回って苦労した。

 10点満点で評価すると、前半の鎌田は7点、後半は5点――平均すると6点。そんな90分間だった(実際に現地メディアも鎌田に6をつけている)。鎌田にとっては、手応えと反省の入り混じった一戦だったのではないだろうか。

『ヘット・べラング・ファン・リンブルフ』紙に対して、鎌田は「今日の僕のプレーは悪かった」とコメントした一方、日本人記者陣は試合後、彼のこんな肉声を聞いている。

「今日の僕はどちらかというと、No.10(トップ下)というよりNo.8(インサイドハーフ)か、ボランチをやっていた感覚です。やっぱり僕は、そこを本職としてやりたい。もちろん、あれだけ(ポジションが)下がれば得点するチャンスは減りますが、僕自身はいいプレーができたと思います。あれがやっぱり、本来の自分かなと思います」

 ベルギー人記者たちに向かって言った「今日の僕は悪かった」。私たち日本人記者に対して語った「僕自身はいいプレーができた」。どちらの言葉も、鎌田の本音なのだろうと、私は思う。そして、前半のプレーが「本来の鎌田大地」なのだろう。

 鎌田はここまで10ゴールを決めていながら、アシストは1個と極端に少ない。しかし、ゲンク戦の前半のプレーが90分間続くようになれば、自ずとゴール数とアシスト数が並ぶようになるはず。その時、日本代表のユニフォームに袖を通す鎌田の姿に期待したい。

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