フェイクニュースにあらず。バルサが悪童・ボアテングを獲得した理由 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by MarcaMedia/AFLO

 その条件を呑んだことが、ボアテングとの契約を加速させた。なぜなら、野心的なFWはこの前提に逡巡する。ドルトムントに移籍してブレイクしたスペイン代表FWパコ・アルカセルは、バルサで冷や飯を食わされていた。多くの候補選手の名前が浮上しては消えるのは必然だった。

「すべての条件を満たすFWはいない。ボアテングのキャラクターは不安要素だが、実力は申し分なし。レンタル料(100万ユーロ)とサラリーを払うだけで、リスクは少ない」

 それがバルセロナの下した現実的判断だった。バルサは昨年の夏、サッスオーロにブラジル人DFマルロン・サントスを売却。良好な関係を作っている。そこで、一気に交渉がまとまった形だろう。
 
 バルセロナの指揮官であるエルネスト・バルベルデは、チリ代表アルトゥール・ビダルを機能的に使いこなすなど、ピッチの中央にパワーを注入できる選手を好む傾向がある。ボアテングは肉体的に恵まれ、前線のインテンシティを高められる。そもそもスアレスは気性が荒く、戦闘的で、ボアテングとキャラクターとしては通じるところもある。

「先発選手として来たわけではないのは、俺も心得ているさ。でも、できる限りチームのことを助けたい」

 ボアテングは今のところ、殊勝に語っている。

「メッシ、スアレスのような選手たちと一緒にプレーできるなんて、マジで誇りに思うぜ。これは試験のようなものだろう。いいプレーをして、契約を延長する。それが俺の目標さ」

 1月23日のスペイン国王杯準々決勝、敵地でのセビージャ戦で、ボアテングは早速、遠征メンバーに入っている。

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