フェイクニュースにあらず。バルサが悪童・ボアテングを獲得した理由 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by MarcaMedia/AFLO

 なぜバルサはボアテングを選んだのか?

 ボアテングは、プロフェッショナルとして成熟しているとは言えない。

 事実、夜遊びにふけり、肥満になるなど、素行面は言語道断。過去には、酔っ払って器物損壊で罰金を命じられたり、暴行事件を起こしたこともあった。あろうことか、ピッチでも怒りの感情を制御できず、相手選手に対して足を振り上げるなど、目に余る行為が絶えない。その点、まさに悪童と言える。

 一方で、「純粋で幼いだけで、選手としての魅力はあまりある」という意見も根強くある。

 刹那的に繰り出すプレーは、大胆かつ繊細。ラス・パルマス時代に放ったボレーシュートなどは今も語り草になっている。選手としては前線のプレーメーカーのようなタイプで、技量だけでなく戦術的理解も高く、意外にも周りを使うプレーに長ける。カリム・ベンゼマ(レアル・マドリード)にも近く、プレーそのものはエゴイスティックではない。

「バルサはボアテングをずっと獲得リストに入れていた」

 一部のメディアでそう言われるが、真実なのだろう。

 実はそう言われるだけの根拠があった。バルセロナの伝説であるヨハン・クライフを崇拝し、バルサイズムに傾倒するキケ・セティエン監督(現ベティス)が率いたラス・パルマスで、ボアテングは抜群の存在感を示していた。2016-17シーズン、10得点しただけでなく、見事に攻撃を牽引。前線でアクロバティックなゴールを決めつつ、コンビネーションの起点となっているのだ。

 バルサとしては、思いのほか、他の候補との交渉が難航したこともあるのだろう。

「あくまでスアレスの控え」

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