モウリーニョ政権の閉塞感を払拭。スールシャールのマンU再建が順調 (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

 英紙『サンデー・タイムズ』のジョナサン・ノースクロフト記者は、新任のスールシャールについて「とにかくナイスガイ」と、その人格を褒める。人選や戦術など最終的な決断は自身で下すが、選手やコーチから積極的に意見を聞き入れる柔軟な姿勢を持ち合わせているという。

 また、地元紙『マンチェスター・イブニング・ニュース』によると、トッテナム戦の前にも「どのような戦術で挑むべきか」と、選手たちと意見交換を図ったようだ。

 スールシャールの「対話重視」のアプローチは、試合中のベンチワークからも垣間見えた。2−0で勝利した前節のニューカッスル・ユナイテッド戦、そして今回のトッテナム戦でも、コーチのマイケル・キャリックやキーラン・マッケナ、マイク・フィーランと言葉を交わしながら戦略を練る姿があった。

 また、テクニカルエリアでも、キャリックやフィーランのコーチ陣がベンチから出向き、指揮官に代わって何度もタッチラインから指示を出していた。前政権ではテクニカルエリアで独りたたずむモウリーニョの姿がお馴染みの光景だっただけに、こうしたベンチワークにも前政権との違いが見て取れた。

 ピッチ内でも、指揮官交代の変化は確認できる。基本フォーメーションを4−3−3とし、ポグバをインサイドMFに固定。ポグバのダイナミックなプレーがもっとも活かせるポジションに配置すると、確かなポジションニングとパスワークでチームプレーを円滑にするアンデル・エレーラでその脇を固めた。周囲を生かす動きに長けるエレーラが入ったおかげで、これまで精彩を欠いていたフランス代表MFは息を吹き返し、5試合で4ゴール&4アシストと別人のような輝きを見せている。

 また、イングランド代表のマーカス・ラッシュフォードをCFのスタメンに固定している点も、スールシャール采配の特長のひとつだ。モウリーニョ前政権では左右両サイドのウィングとしてプレーすることが多かったが、スールシャールはルカクをベンチに置いてでも、ラッシュフォードのCF起用にこだわる。

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