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乾貴士は歌ってベティスに溶け込む。
上がった期待度にはゴールで回答を (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Getty Images

 攻撃的な選手に対する要求は、もちろん、ゴールに関与するプレーだ。乾は助っ人外国人なのだから、他のクラブでも同じようにゴールを要求されるが、ベティスではエイバルのときのように"優しく見守られる"ということはない。悠長に待ってくれることもない。早くゴールを決められるかどうかが、新天地での成功の鍵となるだろう。

 そのためにも必要なのはチームへの順応だ。SNSを見る限り、ロッカールームへの適応は問題なく進んでいるようだ。

 食事の際にチームメートから「日本語の歌を歌って」と要求されて、ドラえもんを歌って笑いをとったり、練習中にホアキン・サンチェスに絡まれて冗談を返したり。キケ・セティエン監督の「いつも笑顔のいい人物だ」という乾評を見ても、スペインサッカーで大事な「ロッカールームへの適応」をうまくやっていることが感じられる。

 FWのロレン・モロンも、「嘘だと思うだろうけど、たくさん話しをしているよ。実際もっと言語が問題になるかと思ったけど、乾にはみんな驚かされている。本当に面白い選手だよ。こんなに話すなんて思いもしなかった」と語っている。

 ただ、もうひとつの大事な要素であるセティエン監督の戦術の理解に関しては、少し時間がかかりそうだ。

 プレシーズンマッチで、乾はエイバルでプレーしていた左サイドではなく、2トップの一角としてトップ下ともいえるセカンドストライカーの位置でプレーした。慣れ親しんだポジションではなく、新しいポジションで新しい役割を与えられたわけで、これにすぐ順応するのは容易なことではないだろう。

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