マドリー、バイエルンの得点レシピを欧州サッカーの食通3人が味わう (4ページ目)

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 では、バイエルンが1-2で敗れて迎えた第2戦のレビューに移りましょう。おふたりが考えるこの試合のポイントはどこですか?

中山 この試合では、ジダンがベンゼマとロナウドの2トップにして、4-4-2を採用しました。ただ、システムは想定内としても、まさかカゼミーロをベンチに置いて、中盤のセンターの一角にマテオ・コヴァチッチを抜てきするとは思いませんでした。

 ジダンとしては、カゼミーロよりも前に出ていけるコヴァチッチを使うことで、2トップでカバーできない部分の守備、つまり相手のビルドアップを自由にさせないという狙いがあったのでしょう。

 ただ、注目の右サイドバックにルーカス・バスケスを使い、その前にモドリッチを置いていたため、どうしても右サイドの守備力が弱かった印象があります。実際、バイエルンはフランク・リベリーと復帰したダヴィド・アラバの2人で何度も左サイドからチャンスを作ることができていました。

小澤 僕は、バイエルンの先制点のシーンを見て、逆にコヴァチッチを使ったことのデメリットが露呈したと感じました。カゼミーロと比較した時、コヴァチッチはカバーリングよりボールサイドに出ていく意識の強い選手ですので、特に相手のクロスボールが入るタイミングで、カバーリングやプレスバックが追いつかず、ゴール前で数的同数、3対3が生まれていました。

 開始3分のバイエルンの先制シーンも、バイエルンの右SBであるキミッヒがゴール前でフリーになっており、ゴールを決めることができましたが、もしカゼミーロであれば、あの場面でしっかり戻ってディフェンスラインの枚数を増やしておくことができていたでしょう。

 守備の細かい部分ではコヴァチッチはまだ課題がありますし、ジダンの采配が裏目に出たと思います。

 それと、バイエルンがアンカーにティアゴ・アルカンタラを起用したことも見逃せません。チームとして思い切って攻撃的にシフトしてきた中、当然アンカーはマドリーのカウンターを潰すタスクも追うわけですが、ハビ・マルティネスが務める以上に攻撃から守備の切り替え局面でのティアゴはカウンターの芽を摘んでいました。この試合のティアゴを見てスペインメディアでは、スペイン代表の試合でもセルヒオ・ブスケツが不在の時はアシエル・イジャラメンディ(レアル・ソシエダ)ではなく、ティアゴでいいじゃないかという意見が出ていました。

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