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大丈夫か?「らしくない」バルサ。
弱気なチェルシーの戦術に救われる (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

「いままで何十年とチェルシーの試合を見てきたけれど、こんな名勝負に遭遇したことは初めてだ。これもひとえにバルサのおかげだ。私は名勝負を演出してくれたバルサに感謝の拍手を贈りたい」

 バルサがバルサらしさを最大限発揮することが、名勝負となる前提になっていた。

 6シーズンぶりにスタンフォード・ブリッジを訪れたバルサに対し、どれほどのチェルシーファンが、当時の老人のようなリスペクトを抱いただろうか。

 バルサのボール支配率は最終的に72%を記録した。チェルシーもその間隙を突き、惜しいチャンスを何度か作った。両者のキャラクターは、一見すると発揮されたかに見えた。結果は1-1。接戦だった。

 しかし、地味だった。弾けていなかった。その点で、例えば先週のレアル・マドリード対PSGに大きく劣った。CLの看板カードの名が泣く出来映えの試合となった。

 まずバルサだ。72%の高い数字を示したボール支配率だが、それはその哲学の根幹にあるものではない。相手陣内でいかにゲームを進めるか。その時間を長く保つか。こちらの方が先に来るべきものだ。高いボール支配率の数字は、あくまでもその産物。ピッチを幅広く使う攻撃こそが、哲学を反映した具体的な姿になる。

 サイドの高い位置にいかにして侵入するか。その位置にボールを運ぶことでチャンスは拡大する。また、ボールを奪われるリスク、ならびに奪われた際のリスクも軽減する。それにより多くのメリットを得ることができる。

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