大丈夫か?「らしくない」バルサ。
弱気なチェルシーの戦術に救われる (3ページ目)
哲学の肝となるこの最大の要素が、いまのバルサ、エルネスト・バルベルデのサッカーには欠落している。攻撃は自ずと真ん中に偏る。奪われる位置も同様。同じ高さで奪われるなら、サイドより自陣までの距離が短く、逆モーションになりやすい真ん中は、サイドよりはるかに危険な地域だ。
実際、バルサはその形でチェルシーに幾度となくボールを奪われ、カウンターを浴び、チャンスを作られている。
バルサの布陣は中盤フラット型4-4-2ながら、両サイドハーフを務めたのは、パウリーニョ(右)とアンドレス・イニエスタ(左)。いずれもサイドアタッカーとは言えない中盤の選手だ。布陣は必然的に4-2-2-2に近づくことになった。プレスのかかりが悪く、かつ、サイド攻撃をサイドバックに頼る旧ブラジル型のサッカーだ。
チェルシーがその弱点をキチンと突けば、バルサのピンチはもっと増えただろう。バルサを守備的なサッカーに追い込むことができたはずだ。
ところが、アントニオ・コンテ監督は、イタリア人監督らしく5バックで後ろを固めた。布陣は3-4-3と3-4-2-1の中間型。4-2-2-2とマッチアップすれば、必ずしも5バックにならなくて済む布陣ながら、チェルシーは自らの意思で引いた。もっとチャンスを作れる状況であったにもかかわらず、その追求を避けた。
バルサもバルサならチェルシーもチェルシーだった。後ろで守り、カウンターを仕掛けるサッカーは、率直に言って時代遅れ。というか、そのサッカーが時代を制した過去は、CL25年史のなかで一度もない。一発勝負には奏功するかもしれないが、基本的に確率、効率が悪いので、長続きしない。
3 / 4