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「点の獲り方がわからない」久保裕也。
エゴ優先のチームでスランプに (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • 川森睦朗●撮影 photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「チームの流れに(自分も)乗りたいですけれど、自分のコンディションを上げるとか、もっとよくするしか方法はないかなと思います」と現状を振り返った久保に、「コンディションは、むしろいいと思うが」と突っ込んでみると、「うん。コンディションという面ではないかもしれません」とうなずいた。

「今の状況は、サイドに流れた選手や、最初にディフェンスラインからボールを受けた選手がひとりで何とかしてしまう。(FWサミュエル・)カルーやFWロマン(・ヤレムチュク)はひとりで持っていけるので、『チームとしてどうにかして』というのがあまりない。そうなると、僕もボールを受けたときに『自分でどうにかして』というのがないと、ゴールチャンスも出てこないのかなと思います」

 このような経験は、久保にとっても初めてのこと。「今までは、最後のところはフリーの選手にきっちり出すようなシチュエーションでプレーしてきました」と振り返る。

「今はいい意味で、エゴイストが通っているというか。それで(チームメイトが)決めるから成り立っている。(彼らは)ミスしても何回もトライしている。それを自分もできれば楽しいでしょうけれど、それができないときとか、ボールが回ってこないときとかは、すごいフラストレーションが溜まります」

 今から1年前の1月29日、久保はホーム「ゲラムコ・アレーナ」で鮮やかなフリーキックを決めて、クラブ・ブルージュを2-0で下す立役者となった。

 あれから、ちょうど1年――。久保はベルギーでの日々を「早かったです。今思うと、一瞬でした。充実していると思います。いい日々もありながら、悶々とする日々もあるという感じです」と振り返る。

 筆者にとっても、久保のプレーを追ったこの1年は、あっという間の出来事のよう。今もなお、昨年3月のメヘレン戦で久保が「メッシのようなドリブルシュート」と形容されたスーパーゴールを決めた直後の鳥肌と、スタジアムのつんざくような歓声は、昨日のことのように思い出す。

「エキストラな部分を出して、点を獲ることに重きを置いてプレーをしたほうがいいのかな、という感じがします。そういうエキストラなものを出せるよう、練習していったらいいのかなと」

 きっと彼は、いい日々のイメージを内に秘めつつ、悶々とする今の日々を糧(かて)に成長していくだろう。

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