冷遇から脱出した原口元気。あえて2部デュッセルドルフを選んだ理由 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 シーズンが始まると、冷遇はより顕著になった。昨シーズンは31試合に出場したが、今季は前半戦17試合のうち7試合出場にとどまった。しかも先発は2度のみ。その数少ない先発の機会に不用意なラフプレーで退場したことはかばいようがないものの、その退場になった第8節シャルケ戦以降は、第17節ライプチヒ戦まで出場がなかった。クラブ側の対応は露骨だった。

 それでもウインターブレイクを挟み、原口はヘルタに戻った。報道されたように、浦和レッズへの復帰という選択肢もあったはずだが、欧州で勝負を続けることを選択した。

 この冬には、プレミアリーグやドイツ1部ブレーメンからのオファーもあったとされている。憶測の域を出ないが、クラブ名を含めてこのあたりの詳細な情報が出てくるのは、クラブ側からのリークだと思われる。原口に関する多くの情報は、クラブが簡単にドイツメディアに流していたと言われている。これも敬意を欠く対応だろう。

 ともかく、原口は最終的にデュッセルドルフへの移籍を決断した。これまで日本人選手と多く仕事をしてきたフリードヘルム・フンケル監督からの熱烈なオファーを理由に挙げているが、それだけではないはずだ。ヘルタで求められた、運動量を頼りにした汗かき役から脱し、ゴール前で仕事のできる攻撃的MFの変貌を、さらに言えば原点回帰を原口は求めている。

 そのことはこのアウエ戦後のコメントからも汲み取れた。「感触は?」と聞かれた原口は、
「見ていても1部とは違うのはわかるし、ひとつひとつのところで違いを作れるだろうなというのはあった」と答えた。1部と比べて少々レベルの落ちる環境だからこそ、自分への要求も多くなるが、それをプレーで表現できるだろう、ということだ。

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