ぺぺもいるトルコの暴れん坊クラブが、大人の戦いでCL驚異の快進撃 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 しかも、最後のライプツィヒ戦には、多くの主力選手を温存して臨んだ。前節のポルト戦からは、タリスカ以外の先発10人を入れ替え。なかには、CL初出場というだけでなく、今季トルコリーグでも1試合しか出場していないFWムスタファ・ペクテメクのサプライズ起用もあった。テスト的要素を多分に含んだメンバー構成だったが、それでもきっちりと勝って終わらせるあたりに、勢いだけではない底力を感じさせる。

 トルコのチームらしい荒々しさとねちっこさを兼ね備えたベシクタシュだが、今季の躍進については、DFのペペとアドリアーノ、MFライアン・バベルといった選手によって、「経験」が加えられたことが大きく影響しているのだろう。

 時に騒動を起こすことも珍しくない、過激なサポーターを味方につけて戦うホームゲームだけでなく、アウェーゲームで確実に勝ち点を稼げるようになったことは、ベテランの存在と無関係ではない。経験豊富な選手がチームを落ち着かせることで、FWジェンク・トスンやタリスカといった選手の潜在能力も引き出されている。

 2002年W杯でトルコ代表を3位に導いた実績を持つ名将、シェノル・ギュネシュ監督は、ライプツィヒがゴールチャンスを生かせずにグループリーグを突破できなかったことについて「経験不足がその理由だ」と指摘していた。その言葉には「そこが我々との違いだ」という意味合いも含まれていただろう。

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