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美しく攻め、失点やむなし。
リーガを彩る「クライフ主義者」たちの戦術 (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

 ひとつは、若手が台頭しやすいこと。バルサはホセ・アルナイス、ジェラール・デウロフェウ、レアル・ソシエダはミケル・オジャルサバル、アルバロ・オドリオソラ、ベティスはファビアン・ルイス、アントニオ・サナブリアなど20歳前後の選手が輝きを放っている。「ボールゲーム」を表現できるだけに、勢いのある若手は失敗を恐れずにトライできるのだろう。

 次に、単純にどのチームも得点数が多い。第10節終了現在で、得点数1位はバルサ、3位はレアル・ソシエダ、4位はベティスである。そして、失点数も多い。バルサだけは例外的に少ないが、ベティスは20チーム中15位、レアル・ソシエダに至っては17位だ。

 極端な数字からも読み取れるように、クライフ主義のフットボールを完遂するのは簡単なことではない。クライフ自身、バルサ以外は、バレンシアやスポルティング・ヒホンから監督オファーがあっても引き受けなかった。なぜなら「この哲学を実践するには、戦力を充実させる必要がある」と理解していたからだ。

 たとえば10月30日、ベティスはエスパニョールと戦っているが、この日は攻撃のエンジンがかからず、守備の脆さだけを露呈した。フォーメーションとしては、4―3―3でバルサの基本的な陣形と同じ。アンカーにハビ・ガルシアを配置し、ふたりのインサイドハーフ、両サイドには崩し役を置いていた。しかし、ビルドアップを分断されてしまい、攻撃に入れなかった。

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