アトレティコ戦でピケにブーイング。政治がバルサを揺るがした2週間

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 10月14日、FCバルセロナはアトレティコ・マドリードの本拠地ワンダ・メトロポリターノに乗り込んでいる(結果は1-1)。試合前から、ゴール裏にはいくつものスペイン国旗が翻(ひるがえ)り、バルサのジェラール・ピケにブーイングが浴びせられた。

「スペイン万歳!」「カタルーニャはスペインだ!」

 不穏な大合唱が巻き起こった――。

ピケ(バルセロナ)にブーイングを浴びせるにアトレティコ・マドリードのサポーターピケ(バルセロナ)にブーイングを浴びせるにアトレティコ・マドリードのサポーター この2週間、スペインはバルセロナを州都とするカタルーニャ自治政府の独立騒動に揺れた。

 10月1日、カタルーニャ自治州は独立を問う住民投票を強行。投票のうち9割が賛成した(スペイン中央政府からは違憲とされ、無効とされた)。選挙への取り締まりで警官が暴力を使ったことで、一気に独立ムードが高まった。

 もっとも、注目された投票率は4割程度。カタルーニャ州でも独立に消極的な人は少なくない。事実、独立反対派のデモも起こった。多くの企業や銀行が「独立したらマドリードに移転する」と発表した。そして先日、独立推進派だった州首相が「独立凍結」を宣言した。このままでは自治権停止の可能性もあったからだ。これで緊急事態からは脱したと言えるだろう。

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