9歳でレアル下部組織入りの中井卓大は、
「スペイン人化」して成長中 (3ページ目)
イニアッキベニ氏から見て、最も大きな中井の変化は、「もはやスペイン人化した内面」だという。
「入団当初は、スペイン人に交じって戦うには少しハートが弱かったかもしれません。ただ、今は精神的にも肉体的にも逞(たくま)しくなり、スペイン人よりスペイン人らしいパーソナリティを持っている。世界でトップクラスのレアルというクラブで揉まれているという経験は、ピピの将来にとって必ずいい結果につながると思います」
"愛弟子"の成長に表情を緩めたイニアッキベニ氏は、最後に中井の将来について語った。
「あえて挙げるとするならば、プレースタイルはマンチェスター・シティのダビド・シルバに近いかもしれない。柔らかいボールタッチとキープ力に加えて、的確にスペースを見つける戦術眼とそこに正確にパスを通す技術を併せ持っています。しかし、ピピはピピでオリジナルな選手。誰かと比較して、こんな選手を目指してほしいということはありません。彼なりの目標を持って、しっかり成長していってほしいです」
U-20W杯やJリーグで久保建英が強烈なインパクトを残しているように、突出した才能は年齢の枠を超えてチャンスを得ることができる。閉塞感が漂う日本サッカー界にとって、アンダー世代からの底上げは確かな光明といえる。
かつて、「泣き虫だから」とつけられた"ピピ"というあだ名。スペインで大きな成長を遂げたマドリードの宝に、もはやその名はそぐわない。
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