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ブラジル中が泣いた。元レイソルCFの
全盲の娘が「指で感じたゴール」 (3ページ目)

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki photo by Getty Images

 ジュリアさんは、一躍、有名人になった。6月末、ボタフォゴの本拠地で行なわれたブラジルリーグの試合の前にホジェルと一緒にピッチに入ると、総立ちの観衆から「ジュリア!ジュリア!」の大合唱。「みんなが私の名前を叫んでくれている。信じられないわ!」と父親に抱きついた。

 ホジェルは、「この子が生後3カ月ほどで目が見えないとわかったとき、私と妻はパニック状態に陥った。必死になって、いい病院や医者を探し、ありとあらゆる治療法を試したが、結局、彼女の視力の問題を解決することはできなかった。しかし、たとえ目が見えなくても、いつも明るく愛らしいジュリアを見ていて、この世で起きるすべての事柄は神様の思し召しなのだ、と思うようになった。私たちはジュリアにいつもありったけの愛情を注いでいる。この子は一家の宝物。これほど素晴らしい子を授かって、本当に幸せだ」と語っている。

 普段、我々は当たり前のようにサッカーを観戦し、一喜一憂する。しかしジュリアさんのように、どれほど試合を見たくても、生涯で一度も見ることができない人もいる。

 以前、やはりブラジルのテレビ番組が、全盲のサッカーファンが友人の助けを借りてスタジアムへ足を運び、スタンドの雰囲気を味わいながら試合を"観戦"し、ひいきチームのゴールに周囲の人たちと抱き合って喜ぶ姿を伝えていた。

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