ブラジル中が泣いた。元レイソルCFの全盲の娘が「指で感じたゴール」 (2ページ目)

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki photo by Getty Images

 6月下旬、この試合のテレビ中継を担当したアナウンサーが、リオ市内のホジェルの家を訪れ、ジュリアさんに立体版を手渡した。

 ジュリアさんは興奮を隠せない様子で、父親の助けを借りながら指で立体板をゆっくりなぞる。「これがパパで、ボールがここにあるのね」「ここでスライディングしてきたCBをかわし、右足でシュートしたのね」「ああ、パパが膝まづいて、左手で天を指して神様に感謝している。それをチームメイトが取り囲んで、祝福してくれているのね」と、一連の動作を確認。「生まれて初めて、パパのゴールを自分の手で感じることができたわ。最高に嬉しい!」と叫んだ。

 ホジェルも「これほど価値のあるプレゼントをもらったのは、生まれて初めて」と目を潤ませていた。

 この模様は翌日、グローボ局の昼の人気スポーツ番組で放映され、大きな反響を呼んだ。スタジオの司会者も思わずもらい泣き。「感動した」「妻や子供と抱き合って泣いた」「すばらしいレポートだった」といった声がブラジル全土からテレビ局へ寄せられた。

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